今朝の中日新聞にドナルド・キーンさんのエッセーが掲載されています。戦勝国アメリカの最前線で日本兵らと交わった氏の証言と深く鋭い洞察から学ぶべきことは多いと思います。
体制に迎合して戦争に反対しなかった日本国民による現状の黙殺(黙認だと思うのですが)が戦争の惨禍の原因、との元アメリカ兵の見方は冷徹ですが、正しいし、今の日本国民ひとりひとりが深く学ばなくてはならない。
1944年10月25日に、フィリッピンのサマール島沖80kmで重巡洋艦“鈴谷”とともに沈んだ伯父の心の内を思います。軍神を祀る靖国神社は間違っています。
「今だから言える」、「結果が出てから何とでも言える。」というのではなく、
「戦争になる前に言いたい、アメリカの先兵にならないよう今のうちに言いたい。」
体制に迎合して、犬死にさせられた日本軍兵士たちの死を学ばず、再び意味のないものにしては、本当に情けないではないですか。「戦争イケイケ法案」には絶対反対です。
なお、ドナルド・キーン氏が知ってか知らずか触れていないことがあります。それは戦前に戦争に反対する意見に止まらず、命がけで反対した勢力があったことです。思想警察・特高などの弾圧でそれらの勢力(共産党、良心的知識人、宗教指導者など)が死刑の恐怖と戦いながら反戦を貫いたことは賞賛されるべきです。
今知ったニュース、安倍晋三首相が14日に閣議決定する戦後70年の談話(安倍談話)をめぐり、首相が7日夜に自民、公明両党幹部に示した原案には、戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話に盛り込まれたアジア諸国への「おわび」の文言が入っていないそうです。
8月9日、長崎原爆忌において田上長崎市長が発した戦争法についての一節
現在、国会では、国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯(しんし)な審議を行うことを求めます。
つい二日前まではこの一節は、戦争法案に触れることを求めた宣言起草委員2名がが排除されるなどして、触れられないのではないかという観測があったのですが、良識の粘りで復活したようです。それでこそドナルド・キーンが示唆する国民の勇気と責任ではないでしょうか。
余談ですが、昼12時50分のBSニュースではこの田上市長の宣言では随所に拍手が聞こえました。それに対して雑音を拾わないように設定されたNHKのマイクにも、安倍晋三戦争イケイケ総理大臣の挨拶にはヤジが飛んでいるのが聞こえます。
ヤジの適否はおくにしても、一国の総理大臣がヤジられるなどいかに戦争法が間違ったものかを如実に物語っていると言えます。(もっとも、昼には聞こえたヤジが夕方のニュースでは聞こえなくなっていますね。)