天神前の安田さんがもう20年以上藤谷の新聞配達をして下さったのです。その配達時刻は藤谷の人たちみんなに時計のように時を告げてきました。
我が家と隣のAちゃんの家あたりは6時5分前くらいで、ずーっと一定でした。ところがこのところラジオ体操のころになり、ずいぶん幅があります。どうしたのかなと思っていたら、安田さんは病気で入院してみえたようです。
安田さんは藤谷の入り口の天神前という集落に住んで、以前は郵便局に勤めてみえたので時間には厳しかったのです。
住居の周りの地域の水田の耕作を一手に引き受けて、黙々と、着実に作業されて育苗から出荷まですべてを計画通りになさるコメ作り農家の鑑です。
藤谷の入り口の田んぼたちを耕作なさるので、それに付随するボタと広大な市道法面の草刈りもひと夏に何度もやって下さって本当にありがたい存在です。
富野の、おそらくどの集落にも安田さんのように全く何の見返りも期待しないで環境・景観の保全に貢献していらっしゃる方々が一人や二人はいるはずです。藤谷では銀吾さんですが、こういう方々が高齢化してそのことをできなくなってしまったらと思うとゾッとします。そしてそれが近づいています。
こういう栄光なき方々にも金メダル、少なくとも「ありがとう」の生の声をかけなくては世の中真っ暗闇です。安田さん、「ありがとうございます。」